チーム・マハロの「勝つ秘訣」
JIBT3回優勝という快挙を成し遂げた、谷本聖志さん(チーム・マハロ)を訪問インタビューしました。出会いと成長そして信念に関わる、心に迫ってくるお話です
運ときっかけ
私がカジキ釣りをやるようになったきっかけですか? 15年くらい前、マリーナで隣のボートが趙 炫済さん(ボート:ミスリバティー)だったんです。私たちはジェットスキーをやったり初島まで行って泊まって帰ってきるとか、バーベキューするという遊び方をしていたんですが、趙さんがカツオやカジキを釣ってくるのは見ていました。そして知り合って3年目に「谷本くん、これを持ってヒョータンというポイントに行ったらいいよ」と言われて、ルアーを何個かいただきました。そうしたら初回でカジキが掛かってしまって。ファイティングチェアがないので、木の折り畳み椅子を出してきてそれに座り、リールを巻きました。
長期にわたる不調
それに感動して、もともとサロンクルーザーだったボートを改造し、タワーまで乗せました。でも最初の1本から6年間、1匹も釣れませんでした。すごいでしょう? カジキはどんどん掛かるんですよ、腕利き趙さんの後を追いかけて行くんですから。でもラインが切れたり、ロッドがすっ飛んでいったりというトラブルばっかり。フネが良いのか魚が当時はたくさんいたのか、やたらとヒットしましたけど、釣り上げられないんですよ。振りかえれば釣具のメンテナンスはしない、テクニックも学ばない、行けば釣れると思っていますから当然です。自分の不真面目さに、6年気づかなかった。
JIBTへの参戦
7年目に心を入れ替えて、ぜんぶ道具も揃え直し、メンテナンスもしっかりとやって万全の状態にしたら、魚を逃がさなくなりました。2007年くらいですかね。JIBTには、釣れない時期から参戦しています。最初は、周りを見回して、すごいところにきちゃったなぁと思いましたけれど、趙さんや岡田前会長、前田副会長や渡邊清一郎さんたちから、親身なご指導をいただきました。
戦略なき戦略
下田には魔物がいて、ふだんからよく釣るチームが釣れなくなっちゃう感じですよ。でも私たちのチームは運が良くて、JIBTではやたらと魚が当たるんです。私たちのチームマハロは3回優勝したんですが、その他にも優勝に肉薄したことがあります。1尾目が、寄せて手元で外れたのが響きましたね。1日に4尾釣って、早上がりしたこともあります。好成績の秘訣ですか? 浮気しないでウドネにずっといることですかね(笑)。とてもはっきりした潮目が出るところで、引いているとほんとうに釣れる気がします。戦略っていうものは、私にはホントにないんです。
ルアーの傾向
ルアーに関しては、なぜか新モデルがよく当たる気がしませんか? エース級が毎年どんどん入れ替わっていきます。数年前はイカが当たったけれど、今はまったくダメとか。色に関しては、流すルアーすべて同じ色にしてエサの群れに見せる、っていうやり方をする人もいらっしゃるみたいですね。
人に恵まれる
趙 炫済さんには、ありがたいことに顔を合わせる度ごとに親しく指導されました。彼のフネ、ミスリバティーに乗せてもらって教えていただいたこともあります。だいたい常にやさしいんですが、魚が掛かった瞬間に鬼か悪魔に変わります。以前乗っていたDiana の進水式にも来てくれて「こんないいフネを作ったんですから、いちばん最初にポイントについて、最後までいるようにしてください」って言われました。でも私は、基本的には暗くなるまえに家や宿に帰りたいんです(笑)。
歴史と新時代
このJIBTウェブサイトには、各大会の記録ムービーがほとんど上がっているけど、時代背景とカジキ釣りの変化がよくわかると思います。昔を振り返るのは楽しいですね。私たちが最初の頃に釣った魚なんて、「これ絶対300kgはあるだろう!」なんて思っていたのが、たぶん本当は100kgもないっていう若い感じがあります。きっとこれからも、新しい歴史が作られていくんでしょうね。楽しみにしています。
取材・テキスト
東 知憲
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