ミニマル強豪チーム “FORWARD”

日本各地をフットワーク軽く釣る、鈴木賢広キャプテンと三枝久美恵さんの「フォワード」は、JIBT優勝を虎視眈々と狙っています。
最初の海、最初のボート

子供のころは、たまには釣り船に乗ってタイやアジといった沖釣りをしたりもしていましたが、あまり積極的ではなかったです。30年以上前のこと、叔父が三宅島に別荘を持っていてボートもあったんですね、自分でも「買えるようになったらフネを持ちたいなあ」と思っていました。やっぱりカジキ釣りは最高におもしろいですが、叔父は何でも釣っていましたね。私が最初にボートを買ったのは2000年よりちょっと前だったと思います。ヤマハのSF-35でした。
チーム・フォワードを組む
その次にリビエラヨットを手に入れ、続いてバートラムにしました。サイズを上げていって、いまは64フィートです。去年の夏にドンジーも買ったのですが、塩釜で修理中です。あとは沖縄に置いているアルベマーレですね。
久美恵さんと最初に釣りに出かけたのは2006年でした。でも風が強くてあまり沖に出られず、三崎の沖あたりで釣れたんです。それまでは船も乗らない、釣りもしないという人だったんですが、感動のあまりアングラーになり、私がキャプテンを勤めるというタッグを組みました。基本的には2人のチームですから、64フィートのボートはちょっと大きすぎる感じもあって。そこらじゅうにカメラが付いているので安全面の心配はないのですが、船上の移動距離がちょっと大きいかなと感じています。
すばらしいチャーター体験
2008年に須崎の有名船、番匠高宮丸のチャーターで出たのが JIBTへの初参戦でした。とてもよい体験ができましたから、乗せてもらって良かったと思っています。地元船のチャーターは、初出場の場合は基本条件になっていますが、すばらしく勉強になりますよ。漁師さんのやり方や考え方に、まるまる3日間にわたって触れる機会って、そうあるものではないですから……。チャーター船の船長から学んだ、JIBTで戦う大事なコツは「他船のヒットコールに惑わされない」ってことでしょうか。無線でコールが聞こえてきても、選んだ場所から動かないんですよ。キンメ漁などをされていますから、カジキが浮く時間や場所がわかっているんですね。自分を信じて待つのが大事なんだと思いました。
ミニマルなチームの工夫
私たちは2人だけのチームなので、さまざまな作業を兼任するために、リモートコントローラーは必須装備です。とくに取り込みのときは私がリーダーマン兼任なので、リモコンがないと厳しいですよ。このシステムに行き着くまでには、いろいろ考えて試行錯誤しました。リモコンはファイティングチェアの横に置いてあり、私がリーダーを取ったら久美さんがリモコンを使ってすこしだけフネを前に出し、魚が潜らないようにするという段取りですね。フネを停めたままにしていると、元気な魚はリーダーを取っても潜っていこうとしますが、前進をすこし掛ければわりと簡単に浮きますね。 ファイトの時間は、もちろん短いにこしたことはないです。魚のペースに持って行かれて、必要以上に時間を掛けていると、体にリーダーが巻き付いてしまうリスクが増えてしまいます。急に引かなくなって、いきなり沈んでいってしまうケースも見てきましたけれど、かわいそうですよ。
日本最高の大会としてのJIBT

地方によって、ルール意識や魚に対する考え方、イベント構成はずいぶん違うと思うのですが、JIBTが最高峰の大会であることは間違いないですね。これからは国際大会の名にふさわしく、外国人アングラーもたくさん参加できるようになっていって欲しいです。私たちのJIBT最高の思い出は、これから作ります! まだ優勝していませんから、がんばらないといけない(笑)。
取材・テキスト
東 知憲
コメントを残す